FFT分析(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)とは、振動センサーで取得した時系列の振動データを「周波数ごとの成分」に分解する解析手法です。設備診断・状態基準保全の分野では、故障原因の特定に欠かせない技術です。
FFT分析とは|設備診断における振動の周波数分析をわかりやすく解説
なぜFFT分析が必要か
振動計で「振動が大きい」とわかっても、それだけでは原因がわかりません。軸受の劣化なのか、アンバランスなのか、共振なのか——原因によって対処法がまったく異なります。FFT分析を使うと振動を周波数成分に分解でき、どの周波数帯に異常なピークがあるかで故障の種類を特定できます。
FFTスペクトルの見方(基本)
| 異常の種類 | 現場での主な特徴 | FFT分析(周波数)の傾向 |
|---|---|---|
| アンバランス | 回転軸の偏り。高速回転になるほど激しく振動する。 | 機械の回転数と同じ「1X(1倍)成分」が突出して高くなる。 |
| ミスアライメント | 軸ずれや、結合部(カップリング)の芯出し不良。 | 1X成分に加えて、その2倍である「2X成分」などが激しく混在して出現する。 |
| 軸受損傷 | ベアリングの摩耗や損傷。放置すると全損に繋がる。 | 高周波成分が増加する。 |
| ゆるみ・がた | ボルトの緩み、土台やベースの固定不良。 | 特定のきれいな山(ピーク)が出ず、ランダムノイズや広帯域振動として現れる。 |
人間の耳との違い
異音に気づいた時点では、すでに損傷が相当進行していることがほとんどです。FFT分析は人間の感覚では捉えられない微細な振動変化を数値・グラフで可視化するため、症状が出る前の段階で異常を検知できます。これが状態基準保全における最大の武器です。
FFT分析を現場で活用するには
現場でFFT分析を活用する最大のポイントは、「振動が大きいか小さいか」ではなく、「どの周波数に異常が出ているか」を確認することです。
振動値だけでは故障の原因までは判断できませんが、FFT分析によって周波数成分を確認することで、異常の種類をより具体的に推定できます。これにより、点検や修理の優先順位をつけやすくなり、不要な分解点検の削減や、突発停止の回避にもつながります。
EBARAメンテナンスクラウドのFFT活用
荏原のシステムでは、取得した振動データを自動でFFT分析。さらに荏原の技術担当者が分析結果をもとに「推定される故障原因」と「推奨対処方法」をお客様に提案します。データを取るだけでなく、「次に何をすべきか」まで一緒に伴走してサポートいたします。