グローバル経営基盤の高度化とグループガバナンスの進化をデジタルでけん引する
持続可能な社会の実現に不可欠な「グローバルエクセレントカンパニー」を目指す上で、全体最適を追求するグローバル経営基盤の高度化は必須です。この目標達成において、グループガバナンスの強化、サプライチェーンの強靭化、そしてERPの導入といった取り組みを進めるためには、デジタル部門の果たす役割は極めて重要となります。
グローバル経営基盤の高度化とグループガバナンスの進化をデジタルでけん引する
持続可能な社会の実現に不可欠な「グローバルエクセレントカンパニー」を目指す上で、全体最適を追求するグローバル経営基盤の高度化は必須です。この目標達成において、グループガバナンスの強化、サプライチェーンの強靭化、そしてERPの導入といった取り組みを進めるためには、デジタル部門の果たす役割は極めて重要となります。
我々は2019年以降、グローバル経営基盤の高度化を最重要テーマに掲げ、集中的に取り組んできました。現在、ERPシステムの導入済拠点は国内外で25を超え、導入中の5拠点を加えると30拠点に達します。この結果、2027年1月までには、連結売上の過半数を占めるグループ会社にERPシステムが導入される見込みです。さらにERPに加え、CRM*1、PLM*2、MES*3といった各システムについても、標準化されたシステムを各カンパニーと連携しながら、日本国内のみならず、海外のグループ会社へも積極的に展開しています。
グループガバナンス強化の一環として、当社は長年にわたりサイバーセキュリティ強化にも取り組んでいます。特に、2026年に欧州でサイバーレジリエンス法が本格的に施行されることに伴い、デジタル部門だけでなく、品質保証部門や各カンパニーの担当者とも連携し、法対応を進めています。この対応をさらに強化するため、2025年にはCIO配下にPSIRT*4を設立し、欧州で展開する製品及び生産拠点におけるサイバーセキュリティ体制の強化を図っています。また、当社はサイバーセキュリティへの取り組みと情報発信が認められ、「サイバーインデックス企業調査2025」(2026年1月、日本IT団体連盟実施)において優良企業として選出されました。これは、数年来にわたるメンバーの着実な努力が、ようやく外部評価という形で実を結んだ成果です。この結果に満足することなく、継続してサイバーセキュリティ対策を強化してまいります。
執行役 CIO
小和瀬 浩之
*1. CRM:Customer Relationship Management(顧客情報・対応履歴を一元管理する仕組み)
*2. PLM:Product Lifecycle Management(製品に関わる情報をライフサイクル全体で管理する仕組み)
*3. MES:Manufacturing Execution System(製造現場の進捗・品質を管理する仕組み)
*4. PSIRT:Product Security Incident Response Team(自社が開発・製造・販売する製品やサービスのセキュリティを守る専門チーム)
2023年からのCxO制の導入により、CIOが先頭に立ち、グローバルなITガバナンスの強化に挑戦しています。当社グループの経営戦略に基づき、グループ全体のIT戦略と各カンパニーの調和を実現し、IT投資やコストの最適化を図ることで、グループ全体のIT組織運営を更に加速させます。
生成AI活用を「攻めのDX」を支える重要戦略と位置付け、2023年にプロジェクトを開始し、2024年1月から全社プロジェクト化しました。社内データやナレッジを安全かつ多言語で活用できる環境として、権限管理を備えた「EBARA AI Chat」を内製開発し、2024年に国内全社へ展開するとともに、全社問い合わせ基盤も統合しました。さらに2025年には同機能を別アプリケーションから利用可能とするAPI(Application Programming Interface)を内製開発し、EBARA AI ChatにAIエージェント機能を実装しました。これにより、コア業務のフローへの組み込みを進めるとともに、クリエイティブ領域への活用にも取り組んでいます。
あわせて、Google GeminiやNotebookLM、Microsoft Copilot、GitHubなどの生成AIを活用し、グローバルでの業務効率化を推進しています。2025年に内製開発した「EBARA AI Communityサイト」でのプロンプトや事例の共有、AIガイドラインのアップデートや各種勉強会、生成AIコンペ開催、AI活用に関する役員インタビューを通し、全社での活用を積極的に促進しています。さらに、Generative AI Japanや機械システム振興協会のフォーラムへの参画、各種講演への登壇など、外部発信を通じて社外連携にも精力的に取り組んでいます。
日本のものづくりが直面する技能の属人化、知識の分断、再現性の欠如といった構造課題に対し、独自のアプローチで変革を進めています。「EBARA-D3®」は、デジタルトリプレット(D3)の概念に基づく、日本のものづくりに最適化された人間中心のDXプロジェクトです。D3とは、デジタルツインを更に発展させ、現実世界・デジタル世界・知識基盤の三層を連動させることで継続的な学習と進化を可能にする考え方です。本プロジェクトでは、現場に蓄積された知識・技(技術・技能)を体系化し、次世代へ継承可能な製造基盤として再構築することを目指しています。
この中核を担うBeyondverse®*は、製品・工程・設備・人の動きといったあらゆる製造情報を3D世界に統合し、「デジタル(仮想)」と「フィジカル(現場)」をシームレスにつなぐ基盤です。設計から製造、保全、改善に至るまでのプロセスを一体として可視化・分析し、現場で発生する事象や判断をデータとして蓄積・活用することで、分断されていた情報を統合し、意思決定の高度化と迅速化を実現します。
さらに、デジタル世界での分析・シミュレーションと現実へのフィードバックを循環させることで、「デジタル」と「フィジカル」が相互に進化し続ける構造を構築しています。これは、変革を主語としデジタルを手段とする人間中心DXの思想に基づき、単なる効率化にとどまらない、現場と技術が共に進化する新たなものづくりのあり方を示すものです。品質・コスト・納期に加え、安全・リスク・学習といった指標と連動した変革モデルの確立により、持続的成長を支える経営基盤を構築します。EBARA-D3™は、荏原のものづくりそのものを再定義するとともに、日本発の製造変革モデルとして産業全体への展開を見据えています。
*AI を活用して幅広い領域をカバーするデジタルツインをベースとしたナレッジデータベース
最先端のXR技術を駆使した製品の3DCG化により、製品・ソリューションの直感的な価値理解を可能にするデジタル接点を構築しています。このアセットを、営業現場だけでなく、社員やパートナー企業向けの高度なシミュレーショントレーニングへ活用拡大することで、組織全体の専門知を底上げし、提供サービスの品質と信頼性向上を目指します。
また、あらゆるタッチポイントで一貫したブランド体験を創出し、顧客との情緒的・機能的なつながりを深化させることで、強固な顧客基盤を構築し、中長期的な収益力と企業価値の向上を実現していきます。
当社グループは、データ資産を企業価値へと転換すべく、グループ横断のデータマネジメント体制を強化しています。2024年よりデータ仮想化基盤を導入し、各部門に散在(サイロ化)していたデータを、物理的移動を伴わずに参照できる環境を整備。ガバナンスと利便性を両立した共通ワークフローの運用を、各カンパニーで段階的に開始しました。
実行力を最大化させるため、2025年8月にデータ基盤機能を、2026年1月にはBIチームを順次DMO(データマネジメントオフィス)へ集約しました。これにより「規程・基盤・活用」のワンストップ体制を確立し、現場ニーズへの即応と意思決定の迅速化を実現しています。
今後は、国内グループ会社への展開を順次進めるとともに、AIが真価を発揮するために不可欠な「高品質かつ網羅的なデータ」を供給する「AI-Ready」な情報インフラへと進化させます。製造現場の予兆検知や経営判断の高度化を加速し、圧倒的な競争優位性を構築していきます。
グローバルなデジタルインフラ基盤としてERP(企業資源計画)システムを全グループに導入しています。すでにグローバル19か国、25拠点に導入済みです(2026年4月現在)。このERPシステムの導入に伴い、BIツールの活用によって経営情報の一元管理と可視化を実現しています。引き続き、世界中の荏原グループ会社への展開と導入を進めていきます。
グローバル市場への進出を加速するため、CRM(顧客関係管理)領域の強化にも取り組んでいます。Salesforce*を全社の受注フロントシステムとして導入し、営業情報を一元管理するとともに、ERPシステムのグローバル展開に合わせ、世界中で統一された営業プロセスの確立を目指しています。さらに、BIツールとERPデータを連携させ、経営情報を可視化。CRMを受注管理からアフターサービスまで拡大し、顧客体験価値(CX)を向上させていきます。
*SalesforceはSalesforce, Inc.の登録商標または商標です。
業務アプリケーションのパッケージ化が進む中、マニュアルレスでの操作を可能とするデジタルアダプションツール「WalkMe*」を導入しています。現在、52システム(2025年12月末時点)で稼働しており、順次拡大しています。利用促進と定着化により、問い合わせ削減による省力化や、利用状況の可視化を通じた運用効率化を実現しています。活動実績が世界的に高く評価され、デジタルアダプション分野のグローバルアワードである「WalkMe Realizer Awards 2026」において、日本企業として初めて「Transformational Business Impact部門」のファイナリストに選出されました。
*WalkMeはWalkMe Ltd.の登録商標または商標です。
企業を狙ったサイバー攻撃が常態化する中、当社グループではサプライチェーン全体で求められるセキュリティ対応を重視し、対策を強化しています。市場からの信頼を確保するため、国際的に認知された規格・フレームワークへの準拠を重要施策と位置付け、情報セキュリティではISO27001、サイバーセキュリティではCIS Controlsへの対応を推進しています。
あわせて、グローバルでのセキュリティガバナンス強化を目的に、海外グループ会社を含むGlobal CSIRT*体制を構築し、継続的な運用・改善を行っています。ISO27001については、2024年までにPDCAサイクルを確立し、2026年1月からは最新版での運用を開始しています。CIS Controlsにおいても、IG1・IG2の運用を開始しており、継続的にモニタリングを実施し、適切に維持・管理しています。
*CSIRT:Computer Security Incident Response Team
(注)本サイト上に記載されている会社名、製品名、サービス名等は、各社の商標または登録商標です。