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Japan

熊本から世界へ届けるCMP装置

圧倒的なチームワークと挑戦の風土で、荏原の半導体事業を加速させる存在に


世界シェア2位の実績を持つ、荏原製作所の「CMP装置」。CMP装置とは、半導体を作る上で欠かせない「半導体製造装置」の1つです。この製品の量産工場となっているのが、荏原製作所 熊本事業所。2001年の設立以来、数々の苦難を乗り越え、シェア拡大に寄与してきました。今ではこの拠点で作られたCMP装置が世界中へ届けられ、半導体製造を支えています。

これまでにどのような壁があり、どう克服したのか。そして熊本事業所で働く誇りや、世界一に向けた未来への展望とは。熊本事業所に所属する、精密・電子カンパニー 装置事業部 生産部 熊本生産技術の北山琢也、同部 熊本生産計画課の松本良太郎、精密・電子カンパニー 装置事業部 SCM部 物流企画課の嶋根耕司と同部 物流管理課の村上來、精密・電子カンパニー 装置事業部 生産部 熊本生産課の荒木典夫、同課の徳永翔が語り合いました。

※CMP装置とは......半導体の基盤である「ウェーハ」の表面を磨き上げる装置。半導体の高度化が進む中、マイクロメートル、ナノメートルレベルの精度の加工が必要とされる。


直面した数々の困難、その壁を乗り越えた原動力

―― 熊本事業所は2001年に設立され、荏原製作所のCMP装置の量産拠点として成長してきました(※)。現在までの間には、多くの苦労や困難を乗り越えてきたと思います。その中でも特に皆さんの印象に残っているものはありますか。

※2001年当時は、株式会社荏原九州として設立。その後、組織再編を経て現在の荏原製作所 熊本事業所となった。

荒木:私が思い出すのは、熊本事業所の生産方式を大きく転換した時期です。この事業所が立ち上がった当初は、1つの製品を作る際に、同じ作業者が複数ある組み立て工程の最初から最後まで、もしくは大部分を担う「セル生産」方式を採用していました。しかし、設立から10年ほど経過した頃、生産台数の増加にともない、現在の「流し生産」方式へと移行しました。流し生産では、製品をライン上に流し、工程ごとに作業者が入れ替わっていきます。各作業者の担当範囲が明確になるため、それぞれの業務が専任化され、スピードは上がります。実際に、生産台数は大幅に増加しました。

徳永 翔・荒木 典夫
精密・電子カンパニー 装置事業部 生産部

嶋根:流し生産への移行に合わせて、工程の設計を作り直したほか、組み立て作業に必要な部品を現場に届ける「部品配膳」の方法も効率化されましたよね。こうした改善もスピードの大幅な向上につながりました。

荒木:私たちにとって初めての大きな取り組みであり、これまでのやり方を変更することに対して、不安や反対意見も多くありました。その中で、賛同してくれるメンバーや関係部門と協働しながら、新しい方法を構築していったのです。熊本事業所のチームワークと現場の対応力があったからこそ、乗り越えられたと思っています。

北山:私が忘れられないのは、2008年のリーマンショックです。世界的な景気悪化により、CMP装置の生産台数は激減しました。私たちの業務も少なくなり、メンバーの半数以上は熊本を離れ、別の事業所などに所属することとなったのです。しかしその中で、残ったメンバーは、他の人がいない分、組み立てから製品の試験まで一貫でこなす「多能工」として業務の幅を広げました。また、外に出たメンバーは新たな視点を養い、その後の景気回復の中で熊本へ戻ってきました。

当時のどん底を経験したメンバーは、「仕事があるのは当たり前じゃない」という思いを持っています。そしてその面々が今、各部門の中核を担っている。それが熊本の強さにつながっているのではないでしょうか。リーマンショックを乗り越えたからこそ、「粘り強い熊本」の素養ができたのだと思います。

松本:課題に直面したという意味では、近年起きた世界的な部品調達難も大きな出来事でした。コロナ禍やロシア・ウクライナ問題により、部品の欠品が相次ぐ状況になったのです。

村上:対策として、各部品を通常より早く、長い期間確保するようにしました。しかしこれにより、在庫が増え、事業所の保管能力を超える状況に。早急に外部の倉庫を手配するなど、急ピッチで対応していきました。

松本:それでも、一部の部品では欠品が発生する状況でしたから、製造・調達・試験の各部門と連携して、毎日のように欠品部品の打ち合わせを行いながら、お互いにフォローしていきました。

荒木:たとえばわれわれ製造部門では、欠品部品が出たらその工程を後ろに回すなどして対応していきましたね。

徳永:各部署のフォローがなければ、あの時期を乗り切れなかったと思いますし、それにより遅延なく出荷できた時は、熊本事業所の団結力を感じました。いつも何かの課題が発生した時は、部門に関係なくメンバーが集まり、解決していきます。そのチームワークは熊本の魅力だと感じますね。

当事者が感じる「熊本事業所の誇り」とは

―― 熊本事業所で働く中で、どのような点に魅力や誇り、やりがいを感じますか。

北山:経営陣をはじめ、本気で「会社を良くしよう」と全体が動いている点です。特に熊本事業所は、CMP装置の世界シェアトップや、世界一のスマートファクトリーを目指して、新しいことにチャレンジする風土が強いと感じます。それは、働く上で魅力になっていますね。

北山 琢也・松本 良太郎
精密・電子カンパニー 装置事業部 生産部

嶋根:私はここに熊本事業所が建つ前、まだ何もなかった頃からこの土地を見てきました。2001年に最初の生産棟であるK1棟ができて、その後、K2棟、K3棟と拡張しています。これらの生産棟の立ち上げに携われたのは誇りになっていますね。CMP装置の成長によって荏原の認知度も高まったと感じますし、以前は「荏原といえばポンプ」のイメージでしたが、最近は「半導体製造装置の会社」という印象も加わったと思います。

荒木:ここで働く中で「人を育てる」ことも大きなやりがいです。熊本は毎年のように増産しており、そのために必要な製造ラインや設備の構築を継続的に行っています。ただし、増産達成には人の存在が欠かせません。ラインの増設に合わせて人も増員し、スキルや知識を教えていきます。1人1人が成長し、求められるスピードで生産を行えるようになった時は本当にうれしいですね。

世界一を目指して、6人が抱く「次の挑戦」

―― 熊本事業所のさらなる成長に向けて、皆さんが今後実現したいことはありますか。

松本:熊本から世界中の半導体メーカーへ、我々のものづくりでこだわってきた品質を、よりスピーディかつ確実に届けたいですね。"作る"という面で努力を重ねるのはもちろん、グローバルな需要変動や部品の調達状況に対しても、柔軟かつ安定的に応えられるよう生産体制を進化させていきたいと考えています。

荒木:これからも半導体の需要は年々増大し、当社のCMP装置の生産台数も増加していくことが見込まれます。熊本事業所では、毎年のように「過去最高の年間生産台数」に挑戦することになるでしょう。全部門が一体となり、そのチャレンジを成功させたいですね。

北山:世界一を目指すには、スマートファクトリーを進めることが不可欠です。デジタルの力で生産性を上げ、なおかつ高い品質を維持する。そのための取り組みを進められたらと思います。

嶋根:現在、私は物流の自動化設備導入を主に担当していますが、年数の経過した建屋や設備では、従来の人の業務を機械で自動化する際に制約が出てきます。その制約を乗り越える一手として、人に近い形で機械が業務を担う「ヒューマノイドロボット(人型ロボット)」なども扱ってみたいと思っています。

村上 來・嶋根 耕司
精密・電子カンパニー 装置事業部 SCM部

村上:私も物流を担当していますが、今後も生産台数が伸びる中で、物流の体制強化も必要になります。生産でも新たな技術や仕組みが導入されていますが、物流も同様のチャレンジを進めたいと思います。

徳永:自動化や機械化は進めつつ、やはり現場の人を大切にする職場にできたらと思います。ものづくりの軸にあるのは、あくまで人です。安全や働きやすさを含め、人に寄り添う環境を追求していきたいですね。

―― 熊本事業所で働きたいという方に向けて、何かメッセージはありますか。

徳永:この事業所の魅力は、若いうちからたくさんのチャレンジができることです。私も入社してすぐ海外に行かせていただいて、さまざまな経験を積みました。現地のお客さまから「ありがとう」「助かった」と言っていただいたことは忘れられないですね。

村上:事業所の社員同士も仲が良く、私も昼休みには、何人かのメンバーと工場の周りを散歩するのが毎日の楽しみになっています(笑)。仕事だけにとどまらない関係が構築されていますね。半導体業界の一端を知れるホットな仕事がここにあります。想像を超えるキャリアやスキルを手に入れられると思いますので、ぜひいろいろな方と一緒にお仕事できるとうれしいです。

荏原製作所 熊本事業所をご紹介します

 

熊本県南関町にある熊本事業所は、2001年にCMP装置の量産工場として開設されました。世界中で高まる半導体需要に応えるため、主力製品であるCMP装置をはじめとする半導体製造装置の製造や、ドライ真空ポンプのオーバーホール(保守・点検)を担う当社の重要拠点です。

時代の変化に合わせて施設の増設や進化を重ねており、自動倉庫を備えるなど物流機能やオペレーションの最適化を図ることで、従業員が働きやすく業務効率の高い環境づくりを進めています。また、生産工程で使用した水の95%以上を再利用する取り組みや、建屋屋上への太陽光パネル導入など、環境負荷の低減と地域環境との調和を大切にしながら、持続可能なものづくりを目指しています。