メインコンテンツにスキップ
Japan

現場の挑戦が品質を作る

設計製造プロセスの課題を見極め、品質不適合の芽を現場で摘み取る


 

製品や作業工程の品質不適合ゼロを目指し、製造工程の改善を重ねる。万が一、品質不適合が出た場合は、原因を究明して再発防止に努める――。ものづくりでは、こうした「品質を高める活動」がきわめて重要です。荏原製作所は、品質に関するグループの基本方針「荏原グローバルクオリティ(EGQ)」を制定し、これを実現するためのEGQ活動を進めています。具体的にどのようなことをしているのでしょうか。また、品質に関わる荏原のメンバーは、現場でどういった業務に取り組んでいるのでしょうか。

今回の記事では、コーポレート 生産プロセス革新・品質保証統括部 品質保証部 EGQ活動推進課の上徳元さん、精密・電子カンパニー 安全・環境・品質推進統括部 品質保証部 品質保証推進課の大池浩貴さんと森下弘章さん、精密・電子カンパニー 安全・環境・品質推進統括部 品質保証部 品質管理二課の井上智視さんと山口久美子さんに取材し、荏原全体の取り組みと、精密・電子カンパニーのコンポーネント事業における品質向上の取り組みについてききました。


品質に関する「定量」「定性」の目標を掲げて活動

――荏原グループでは2020年にEGQを制定していますが、そもそもEGQとはどのようなものであり、どういった経緯で作られたのでしょうか。

上徳:もともと荏原では品質の向上に取り組んでおり、1970年代以降は「QA(品質保証)統括指針」を設けるなど、品質の強化を図ってきました。しかし、荏原グループが大きくなり、海外拠点も増える中で、今までより一層、グループ全体で同じ方向を向いて品質の向上を目指す必要性が出てきました。

その上で転機になったのが、荏原が2020年に策定した「E-Vision2030」です。これは、ここから10年後(2030年)を見据えた長期ビジョンであり、この中で示した「2030年のありたい姿」へ向かうためには、荏原としての信頼性を高めなければならないという思いが強くなってきたのです。当社の信頼性を左右するのは、間違いなく製品やサービスの品質です。そこで、同じく2020年に制定したのがEGQです。

上徳 元
生産プロセス革新・品質保証統括部 品質保証部 EGQ活動推進課 

EGQとは、品質に関する荏原グループの基本方針であり、現在はこの内容をベースに、グループ全体の品質を改善するための「EGQ活動」を行っています。

荏原には5つのカンパニー、13の国内事業体があり、各事業体で品質保証・管理を担当する組織が存在します。ここにいる4人は、日々品質を高める活動を行っており、それぞれの取り組みがEGQへとつながっていますね。

品質保証の評価スキーム 品質保証の評価スキーム

私たちが「品質不適合」を予防できれば、きっと現場は楽になる

――4人の方々は、それぞれ品質に関してどのような業務を行っているのでしょうか。
森下 弘章
精密・電子カンパニー 安全・環境・品質推進統括部 品質保証部 品質保証推進課

森下:私と大池さんは、精密・電子カンパニーの中の「コンポーネント事業」という事業体の品質保証を担当しています。具体的には、お客様に提供した製品に「品質不適合」があった場合に、原因究明や再発防止の対策を行います。

さらには、社外に出た品質不適合などの失敗コストを分析して、どのような部分で問題が起きやすいのか、それを改善するためには何を強化すべきかといったことを検討していきます。私はドライ真空ポンプ、大池さんは排ガス処理装置やオゾン水製造装置の品質保証をそれぞれ担当しています。いずれも半導体製造などに使われる装置です。

大池:コンポーネント事業では現在、製品の品質を高めるために、いくつかの重点施策を進めています。たとえば各製品について、設計上の問題点がないかを審査する「デザインレビュー(DR)」を強化しているほか、製品を作る工程についても、組み立てる順番や使用する工具を確認し、リスクや懸念点を検証する「工程FMEA」に力を入れています。

そのほかに、決められた通りの手順・内容で製造工程が進められているかを現場で確認する「品質パトロール」も行ってきました。こうした取り組みを通じて、品質不適合の防止に努めています。

大池 浩貴
精密・電子カンパニー 安全・環境・品質推進統括部 品質保証部 品質保証推進課
――井上さんと山口さんはどのような業務を行っているのでしょうか。

井上:森下さんと大池さんは、社外で発生した品質不適合の対応をしています。私と山口さんは、社内工程で発生した品質不適合の対応をしています。それぞれ担当製品もあり、私はドライ真空ポンプを、山口さんはオゾン水製造装置を見ていますね。

山口:私たちが実際に行っている業務としては、社内で発見した品質不適合について、発生原因の調査や再発防止策を検討していきます。私たちも工程FMEAやDR、品質パトロールを実施していますね。

井上:品質不適合が発生すれば、製造現場はいったん止まり、分解や再組立などのリワークを行う必要が出てきます。当然現場の負担は増してしまいますよね。私たちが、どの段階での品質不適合なのかをしっかり見極め、少しでも発生防止に導くことができれば、現場の方々もきっと楽になります。そういう思いを持って、日々業務に臨んでいます。

井上 智視
精密・電子カンパニー 安全・環境・品質推進統括部 品質保証部 品質管理二課
山口 久美子
精密・電子カンパニー 安全・環境・品質推進統括部 品質保証部 品質管理二課

品質に携わる魅力は「マイナスをプラスに変えられること」

――みなさんの業務1つ1つが積み重なり、グループ全体のEGQ実現につながっていくということですね。

上徳:そうですね。もちろん現状の活動だけで満足せず、さらなる施策の強化を図っていきたいと思います。

2026年2月には、ここから10年後のありたい姿を定めた「E-Vision2035」が策定されました。その達成に向けて重視されているのが「品質経営」です。これは、荏原グループとして品質をより一層高めていくという意思表示だと捉えています。

これからさらなる品質向上を行うためには、品質の知見やノウハウを身につけた「品質人材」を社内で育成することが重要だと考えています。すでにEGQ活動の一環として、新入社員からマネジメント職まで、全社員に対して品質の教育プログラムを提供してきました。今後は製品などの「ものづくりの品質」だけでなく、事務やバックオフィスも含めた「業務の品質」を高める教育プログラムも提供できたらと考えています。

――次世代の方々に向けて、あるいは荏原で品質に関する業務を行ってみたいという人に向けて、何かメッセージはありますか。

大池:品質保証や品質管理の役割は、今出ている問題を解決する、あるいは問題が起きないように防止することです。それはつまり、「マイナスをプラスに変える」業務といえるのではないでしょうか。やりがいは大きいですし、仕事を通じて得られる経験も貴重だと思います。

山口:精密・電子カンパニーの品質部門の特徴は、さまざまな業界でこの仕事をしてきた人たちが集まっていることです。大池さんや森下さんも、別業界の品質部門を経て、荏原に転職してきましたよね。異なる経験をした人がいるからこそ、多様な知見を融合して品質を向上していけますし、自分自身の学びにもなるはず。いろいろな人たちと力を合わせて、荏原の品質を高めていけたらと思います。