荏原製作所(以下:荏原)は、知識駆動型DX(デジタルトランスフォーメーション)の第一弾として「EBARA 開発ナビ」(以下:本システム)を本格始動させました。本システムは、情報空間と現実空間をつなぐデジタルツインの概念に、熟達技術者が持つ経験やノウハウといった「暗黙知」を含む知識空間を接続した、デジタルトリプレット(D3)という概念に基づいています。D3の概念はAIとも高い親和性があり、知識を蓄積・共有し、利用するほど進化していく「知の循環」を実現する画期的な仕組みです。これにより、技術伝承の断絶を防ぐとともに、製品開発期間の大幅な短縮と品質向上を実現し、「価値創造」の強化を目指します。
技術伝承と知の循環を実現する「EBARA 開発ナビ」を本格始動
~ 設計・開発における「知識駆動型DX」を推進 ~
1.背景とねらい
ものづくり企業において、長年の経験と勘に基づく「暗黙知」が特定の個人の頭の中に留まり、ベテラン技術者の退職とともにその貴重なノウハウが失われてしまうことは、喫緊かつ重大な課題です。これまでもデジタルツインなどのデータ駆動型DXの取り組みが行われてきましたが、従来のデジタル化だけでは人が持つ深い知識や判断プロセスまでは組み込めず、真のエンジニアリング力の向上には限界がありました。そこで荏原は、東京大学の梅田教授が提唱する「デジタルトリプレット」の概念に基づいて知識駆動型DXを構築することで知識の属人化を防ぎ、全社的な技術伝承と価値創造力の底上げと革新を実現します。
2.概要
「EBARA 開発ナビ」は、設計・開発プロセスを整流化し、各プロセスでの設計アクションのロジックと根拠、そこで活用される熟達者の知見や関連情報を知識データとして組み込み、若手や経験値の少ない人たちをはじめとした実務に直結させるためのシステムです。エンジニアの新たな気づきを記録し知識化し、また知識データを更新していくことで、技術伝承や生産性向上にとどまらず、価値創造力の強化につながる知識駆動型DXを実現します。
(1) 主な特徴
• 実務適用のためのナビゲーション:
ユーザーに対し、業務プロセスの中で「次に何をすべきか」「なぜそう判断するのか」を明確に提示します。これにより、迷うことなく知識を「実務適用」することが可能になります。
• 手戻りの防止:
プロセスと形式知を確実になぞることができるため、設計検討や評価の漏れを防ぎ、開発期間が長期化する主因となる手戻りを低減します。
• 価値創造力アップ:
技術伝承に費やされていた熟達者の時間を新たなチャレンジにあてることで、さらなる価値創造を実現します。新たに獲得した知識は、本システムを通じて社内に共有されることで組織全体の競争力の底上げにつながります。
(2) 期待される効果
• 開発スピードの加速:
製品リリースまでの開発期間を、約33%短縮。
• 生産性の向上:
情報調査や問合せ対応の時間を50%以上削減し、開発工数を約30%削減。
• 人材育成の加速:
新人技術者の自立を加速し、教育効率化と実務強化の好循環を形成する。
3.今後の展開
現在、給水ユニット、水中ポンプ、液体水素遠心ポンプの知識データの投入から着手し、活動を継続しています。引き続き、荏原は「知識構造化と共有」の文化を定着させると共に、AIエージェントによる知識化と知識活用も加速し、全社・全製品への展開を目指します。
ー 荏原グループについて ー
荏原グループは、長期ビジョンと中期経営計画に基づいてESG重要課題に取り組むことで、持続可能な開発目標(SDGs)達成を目指し、企業価値のさらなる向上を図っていきます。