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Japan

DX戦略

CIOメッセージ

DXによる可視化と生産性向上で、経営戦略の実現を後押しする

荏原グループは、DXを単なるデジタル化と捉えず、経営戦略・事業戦略の中核に据え、経営、事業、デジタル部門が一体となって推進しています。こうした姿勢に共鳴し、当社と異なる文化をもつ各分野のプロフェッショナルが続々と参画しており、既存の企業文化と融合し、新たな化学反応を生み出しています。攻めのDXでは、本格稼働した全社規模の生成AIプロジェクトがすでに多くの成果を創出し、日本発の技術をグローバルへと展開加速させています。またデジタルトリプレットにおいては、生産現場のバーチャル化が急速に進展し、革新的な取り組みが展開されています。守りのDXでは、全社ERPプロジェクトが着実に進捗して17か国で本稼働を迎えており、E-Plan2025で掲げた経営インフラの高度化/効率化に資するグループ各社の業務標準化が順調に進んでいます。
* デジタルツインに加えて、人間の知恵やノウハウ、経験など、現場の技術者が持つ知識や判断を加えて拡張させた概念

執行役 CIO
小和瀬 浩之

DX戦略の全体像

ガバナンス ―
持続可能な成長を実現するDXビジョン

グローバルなDX推進を支える経営・事業・IT部門の三位一体推進体制

2023年からのCxO制の導入により、CIOが先頭に立ち、グローバルなITガバナンスの強化に挑戦しています。当社グループの経営戦略に基づき、グループ全体のIT戦略と各カンパニーの調和を実現し、IT投資やコストの最適化を図ることで、グループ全体のIT組織運営を更に加速させます。

  1. IT戦略の整合性  
    荏原グループ全体のIT戦略・方針と各ビジネスセグメント、グループ会社それぞれのIT戦略の整合性を強化します。
  2. ITマネジメントプロセスの最適化  
    荏原グループのIT関連マネジメントプロセスを最適化し、グループ全体のIT組織運営を円滑にします。
  3. グローバルITガバナンスの遂行  
    CIOとCROが連携し、独立性と効率性を両立させたIT統制の枠組みをグローバルに整備し、その強化を図ります。
  4. 各IT組織間の連携  
    荏原グループ内のIT組織間の連携を強化し、各社IT部門とのコミュニケーションを更に促進していきます。

戦略 ― 攻めのDX

業務効率化と新たな価値創造に向けて、最新技術とあらゆるデータを活用

生成AIの全社活用

当社では、生成AI活用を攻めのDXの重要な戦略の一つと位置付け、データストラテジーチームが主体となり2023年より生成AIプロジェクトを立ち上げ、2024年1月より全社プロジェクトとして推進しています。社内に蓄積された膨大なデータ・ナレッジを、複数の生成AIモデルで、かつ多言語で検索・問い合わせできるよう、セキュアかつ権限管理された環境下でEBARA AI Chatを内製開発。5月末に1事業部、7月末に国内全社へ本格展開し、11月には既存の全社問い合わせも本Chatに移行しました。また、GoogleのGeminiやNotebookLM、Microsoft Copilot、ソースコード管理のGitHubの中で提供される生成AI機能も活用し、全社・グローバルでの業務効率化を図っています。また、規制を遵守しながらクリエイティブ面でも生成AIを活用し、新しい技術を随時取り込みつつ、コア業務への活用推進と認知度向上を図っています。

さらに、2024年に加盟した一般社団法人Generative AI Japanや機械システム振興協会フォーラム委員の活動、各種イベントへの登壇を通して当社の取り組みを発信していくとともに、他社・他業種とも広く情報連携しながら、生成AIの全社活用をより一層進めていきます。

生成AIや先端テクノロジーを駆使したコミュニケーション

当社における生成AIの習熟度向上を図る上で、社内外双方に向けて、目的とニーズに適うコミュニケーション設計が不可欠です。そのため、生成AIや認知科学、様々なデータを活用しながら、最適な「手段」を提案・実行します。そして、「ゼロ→イチ」のクリエイティブな発想で新たな価値を創出します。
また生成AIの活用によって、従来時間とコストがかかっていた映像制作やデザイン業務の効率化やコスト削減を推進します。更に、こうしたデジタルクリエイティブを駆使することによって、今後はターゲットごとに最適化されたコンテンツの自動生成が実現し、DXの目的の一つである価値創出の加速に貢献します。

EBARA-D3とBeyondverseによる製造DX推進

特に製造領域のDXをスコープとして、カンパニー間のカルチャーの違いにとらわれないDX活動を推進しています。EBARA-D3の枠組みのもと、Beyondverse*を活用し、リアルとデジタルを融合した製造DXを加速します。PLMなどの大型システム間をつなぐハブ的役割を担い、スピーディかつ着実にナレッジ基盤を構築しています。Beyondverseの3Dデータ統合とAI解析により技能や知見をデジタル化し、内製化と高速開発を推進することで、「荏原をデータで強くする」に貢献しています。

* AIを活用して幅広い領域をカバーするナレッジデータベース

 

戦略 ― 守りのDX

グローバル一体運営のための情報基盤を構築

グローバルで経営資源の見える化へ

グローバル経営・事業遂行に向けて、業務フローやルールの最適化を通じて標準化を進めるとともに、グローバルなデジタルインフラ基盤としてERP(企業資源計画)システムを全グループに導入しています。すでにグローバル17か国、19社(2025年1月時点)に導入済みです。このERPシステムの導入に伴い、BIツールの活用によって経営情報の一元管理と可視化を実現しています。引き続き、世界中の荏原グループ会社への展開と導入を進めていきます。

CRM領域のグローバル展開

グローバル市場への進出を加速するため、当社グループはCRM(顧客関係管理)領域の強化に取り組んでいます。Salesforce*1を全社の受注フロントシステムとして活用し、営業情報を一元管理するとともに、ERPシステムのグローバル展開に合わせて、世界中の拠点で統一された営業プロセスの確立を目指しています。同時に、BIツールと全社ERPデータの連携を強化し、CRM単体では得られない包括的な経営情報を可視化します。CRMを受注管理だけでなく、アフターサービスにも活用し、製品導入実績やお客様サポート状況をグローバルでモニタリングすることで、CX(顧客体験価値)を向上させていきます。

データドリブンな人的資本経営と先進TECHを活用したDX推進

当社グループは、2019年から導入したSAP、 SuccessFactors*2を基軸に、グローバルHCM(人的資本管理)プラットフォームの展開を進め、海外子会社37社で導入完了しています。すでに活用している人事情報管理や人事評価、後継者育成、研修管理などは、その運用を強化するとともに、今後は、学習管理機能、e-Learningのユーザー拡大や、採用管理機能を用いたグローバル人材育成プログラムを開始する予定です。引き続き、グローバル規模での人材育成と評価の拡充を図っていきます。

デジタルアダプションツールの活用によるシステムの利用促進

業務アプリケーションのパッケージ製品採用が進む中、システムをカスタマイズせずに操作ガイドを表示させ、利用者がマニュアルレスで操作できるよう、デジタルアダプションツールWalkMe*3を導入しています。現在45システム(2025年5月末時点)上で稼働しており、今後も拡大予定です。ユーザーのシステム利用促進と定着化によって、問い合わせ対応の削減による省力化が実現しているほか、システムの利用状況の可視化により、システム運用の効率化に寄与しています。この導入実績が評価され、WalkMe株式会社より2023年度「Manager of the Year Award」、2024年度「Builder of the Year Award」「Influencer of the Year Award」を受賞しました。

全社ERP導入 ロードマップ

*1. Salesforceは、Salesforce, Inc.の登録商標または商標です。 
*2. SAP、SuccessFactorsは、SAP SEの登録商標または商標です。 
*3. WalkMeはWalkMe Ltd.の登録商標または商標です。

リスク管理

荏原グループのサイバーセキュリティ強化

企業を狙ったサイバー攻撃は日常的なものとなっており、荏原グループとして対応を強化しています。昨今は取引先からも、サプライチェーンマネジメントの一貫として、サイバーセキュリティの対応を求められることが増えています。こうした要求に確実に応え、市場からの信頼を得るため、世界的に認知された国際規格やフレームワークへの準拠が重要であると位置付け、情報セキュリティとしてISO27001、サイバーセキュリティとしてCIS Controls*1への準拠を推進しています。また、グローバル企業に求められるセキュリティガバナンスの強化を目的として、海外グループ会社のメンバーを迎えて、Global CSIRT*2として体制を構築し、継続的な運用・改善を行っています。

ISO27001については、2024年末までに情報セキュリティマネジメントシステムの運用におけるPDCAサイクルを確立しましたが、現状は1世代前の仕様であるため、2025年度末までに最新版への更新を進めます。また、CIS Controlsについては、2024年末までにIG1、IG2の70%程度の項目に関して運用を開始しています。今後はこれらの運用を維持しつつ、適用項目を拡大し、2025年末を目途にCIS Controlsへの対応を強化していきます。

*1. 米国のセキュリティ非営利団体であるCISが、企業がサイバーセキュリティ対策として取り組むべきことをまとめたフレームワーク
*2. Global Computer Security Incident Response Team

プロモーションDX

テクノロジー×デザイン×データドリブンを融合したプロモーション
~フィジカルとxR(仮想)体験の融合による新しい体験価値の提供~

従来、プロモーション活動では、制作者・評価者の主観の食い違いによる意思決定の遅延、アウトプットの評価手法、KPI設定が課題とされてきました。そこでテキストマイニングで当社の客観的な評価を分析し、それに基づきプロモーションポイントの抽出・KPI設定を行うほか、視線・色相分析結果とデザイン思考に基づく合理的でスピード感のある意思決定を行っています。
また、3DCG技術を活用した裸眼立体視ディスプレイによる展示や、3DCGとフィジカルを融合した動画制作、メタバースを活用したコミュニケーション活性化など、xRテクノロジーを掛け合わせた新しい体験価値を生み出しています。

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