2019年02月12日
株式会社 荏原製作所
当社グループの荏原環境プラント株式会社は、株式会社Ridge-i(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:柳原尚史)と共同開発した、熟練運転員の眼を代替するごみ識別AIを搭載した自動クレーンシステムの実証実験に成功し、この度、運用を開始しました。
ごみ焼却施設では、排ガス性状やごみ発電の安定化において燃焼の安定化は重要です。ごみピット(以下,ピット)内のごみ性状を均一化する撹拌や、特殊ごみの退避等のクレーン操作が必要になります。そのため、現在は運転員が視覚的にごみ性状を認識し、適時クレーンを操作し燃焼の安定化を図っています。燃焼安定化を進めるために、運転員の技量の差、将来に向けた人に依存する作業の低減が必要と考え、クレーン作業において人に依存しない自動化の開発を進めてきました。
本システムは、カメラで捉えたピット内のごみ状況を、AIでごみの撹拌状況などを識別し、高度制御装置でピット内のクレーン操作判断を行い、クレーンを自動運転するものです。
自動化開発にあたっては、この「運転員の眼」を代替することが重要課題でした。そこで、画像解析技術に定評のあるRidge-i社と共同で、ディープラーニング(深層学習)を用いたごみ識別AIの開発を行ってきました。AIでごみ状況を識別可能にしたことで、従来の自動クレーンでは困難であった「燃焼に適したごみを識別した上で炉に投入する」ことや、「特殊ごみ(大量に炉に投入すると機器や燃焼に悪影響の出るごみ)を識別し適切に対処する」ことが可能となりました。
多種多様なごみを識別可能
今後、本AI搭載自動クレーンシステムを既設炉・新設炉に限らず展開していくとともに、焼却炉の燃焼制御へのAI活用を進めていきます。そして、投入ごみの識別結果と焼却炉の燃焼制御とを組み合わせた操炉全般にAI活用することで、焼却炉の自動運転を実現し、安定かつ、人に依存しない次世代型のごみ焼却施設を目指します。
荏原グループは、中期経営計画とESG重要課題に取り組むことで、経営方針に基づいて企業価値のさらなる向上を図り、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指します。
強靭な社会インフラ整備